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不義が正義に勝ってはなりませぬ『関ケ原』

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8/26の公開初日に映画「関ヶ原」を見に行きました。
今回は、その感想を。

関ヶ原 Blu-ray 通常版
関ヶ原 Blu-ray 通常版

まず、こういう歴史を題材とした映画を見る際は、事前知識は必要不可欠。もちろん、事前知識がなくても見てもいいとは思う。ただ、前提となる知識がないにも関わらず、もっと違う言葉を使えば、歴史を知らないことを棚にあげて、「よくわからなくてつまらなかった。」という類の批評については、「もっとお勉強しましょうね。」としか言えない。ある程度の歴史を知っているか否かで、この類の映画については心に響く総量が違う。本作については、少なくとも関ヶ原の戦いに至る経緯については理解してから見ることをオススメしたい。

それは太閤秀吉亡き後の権力争いか?人望のない石田三成と人望のある徳川家康の覇権争いか?

石田三成 - Wikipedia
徳川家康 - Wikipedia

否、それだけでは不十分。関ヶ原の戦いとは、朝鮮出兵に端を発した豊臣家臣団を二分する対立と、それに乗じて覇権を握ろうと画策する五大老筆頭徳川家康の思惑が絡み合った、豊臣政権内の内紛だ。太閤とは誰か?内府とは誰か?その程度の言葉も知っておくとすんなり話に入り込める。

本作は、純然たる歴史作品だ。そこに幾つかの演出はあるものの、”歴史”をスクリーンで垣間見るイメージ。本作の特徴は、敗軍の将である石田三成の目線で関ヶ原を語っているところだろう。歴史というのは古今東西、勝者の歴史と言っても過言ではない。戦いに敗れ、歴史の表舞台には登場しない人物の中には、勝者より立派な人間はごまんといただろう。不当に貶められ、それが後世に史実として語り継がれてしまったケースも山のようにあるはずだ。本作の主人公、石田三成は、まさにそんなケースが当てはまるであろう人物であると思う。(実際のところは、確認すべきもないけれど。)

よく、合戦のシーンが迫力があってよかった、なんて感想を見る。確かに、合戦のシーンは映画ならではのスケール、描写で、迫力はあった。長槍の使い方なども、実際の使い方に沿ってるなぁと感心して見ていた。が、本作の本質はそこではない。テーマは、劇中でも頻繁に出てくる「義」という言葉だろう。「義」とは、道理にかなったこと。秀吉亡き後の天下を手中にしたい家康の「欲」との対比。

「不義が正義に勝ってはなりませぬ」

劇中の三成の言葉だけれど、確かに「大一大吉大万」の旗印の理想は崇高だし、一見正義に見える。が、これはあくまで三成視点での話。家康視点で見れば、また別の「義」があり、現代のどんな些細な争いでもそうだけれど、どちらの「義」にも「理」がある。結局のところは、その当時に生きてた人たちがどちらの「義」に心を動かされたか、または、「利」のみに走った人もいたかもしれないが、そういうことなんだとは思う。いずれが「義」でいずれが「不義」だったのかなんて、一概に判断はできない。

そういう、いずれの側でも「義」に対して、三成、家康双方の心のありよう、また、彼らの「義」に共感する島左近やその他の武将の内面、ともすれば葛藤が、この映画の本質だと思う。

それもあって、初芽は別にいなくてもよかったかな・・・。

ただ、1つ気になったのがラストシーン。

斬首される直前で話は終わるけれど、最後の「これぞ、我が正義!」と叫んだ後、エンドロールになるんだけど、最後の叫びはくどかったかなと思う。あそこは、黙っていたほうが聴衆はいろんなイメージをすることができてよりよかったんじゃないかな。あれを叫んだことで、自分はあまりに自分の「義」に固執しすぎだよな、と思ってしまった。余韻も何もない・・・。

というわけで、歴史が苦手な人にはちょっと敷居が高い映画です。単に岡田くんが好きというだけで見てはいけない。役者の言葉も、当時の言葉遣い、方言などが多用されてますので、聞き慣れていない人には何を言ってるのかわからないかもしれません。

ぜひ予習を。真田丸の総集編でも見ておけば、まずは問題ないかな。

 

 

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